魚類筋肉への放射性セシウムの蓄積と水洗による除去

 既報=全国蒲鉾品評会の審査員を務める東京大学大学院農学生命科学研究科の渡部終五農学博士は「魚類筋肉への放射性セシウムの蓄積と水洗いによる除去」という、かまぼこ製造時の水晒し工程がセシウム除去に有効との研究発表を3月28日、都内で開催された日本水産学会で、発表した。

 これに先立ち、渡部博士は、東京大学・安田講堂で行われた「放射能の農畜産物等への影響についての研究報告会」で、同様の研究結果を発表しているが、その原資料が入手できたので、掲載する。


 【魚類筋肉への放射性セシウムの蓄積と水洗による除去】


 放射能で汚染された食品には、放射性セシウムで500Bq/kgの暫定基準値が設けられており、この値を超えた場合には販売などが食品衛生法で禁止されている。一方、魚類の可食部のほとんどを占める筋肉には種々の利用形態があり、魚肉練り製品は代表的なものである。その製造に当たって水晒しの工程があり、この水晒し工程によって魚肉中の放射性セシウムが上述した暫定基準値以下、あるいは測定限界値以下となれば、汚染された魚類筋肉の有効利用が可能となる。そこで、魚肉の水晒しによる放射性セシウムの除去効果につき、詳細な検討を加えた。

 2011年(平成23年)の夏から冬にかけて、福島県いわき市周辺沿岸から釣りなどによりニベ、マダラおよびシログチを採捕し、採捕後、直ちに-20~30˚C貯蔵された魚体を水晒しの実験に用いた。なお、シログチの非汚染対象魚として東シナ海産も供試した。放射性物質の組織局在をみるため、半凍結魚から種々の組織を摘出し、イメージングプレートを用いる放射活性の分析に供した。水晒しに当たっては、解凍魚から普通肉を採取後、包丁で細切して3倍量の水晒し水(0.1%NaCl)を加え、薬さじで撹拌した後に遠心分離に供した。一部細切肉についてはホモジナイズした。遠心分離後の水晒し肉および原料魚肉の放射性セシウムを定量した。

 ニベ、マダラおよびシログチの諸組織を分離してイメージングプレートに供したところ、放射性物質による反応は、筋肉で最も強かったが、腸や肝臓も反応性を示した。次に、ニベ普通肉に3倍量の水晒し水を加えて、ホモジナイズする区と、薬さじで撹拌する区を設定して水晒しの効果を比較したところ、いずれの処理区でも水晒し後の魚肉中の放射性セシウム残存量は~30%と、差は認められなかった。さらに、両処理区の試料につき、2, 3回目の水晒しを薬さじを用いて行ったところ、最終的な放射性セシウム残存量は第1回目にホモジナイザーを用いた場合には5%までに大きく低下した。一方、最初から薬さじを用いて3回の水晒しを行った場合には20%と、ホモジナイズの効果は著しく高かった。さらに、水晒し水を9倍量に変化させて薬さじを用いて水晒しを行ったところ、放射性セシウム残存量は~40%と、水晒し水の量は放射性セシウムの除去効果には大きな影響を及ぼさなかった。なお、マダラ普通肉につき、薬さじを用いて水晒しを繰り返した場合でも、最終的な放射性セシウム残存量は20%と測定された。







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