本物の蒲鉾に本物の日本酒を

 世の中デフレで、食品も価格のみで勝負といった流れが目立つ。大量生産・大量販売する大手メーカーは、それでも利益を捻出できるのだろうが、規模の小さいメーカーでは、そうもゆくまい。不特定多数の一般消費者を対象にするより、ターゲットを絞った客層への売り込みに力を入れたほうが効果的と思われる場合がないでもない。

 先日もデパ地下のチーズ特設売場を覗いていると、若いカップルが、販売員から進められたチーズを試食しながら「ワインが欲しいわね」とつぶやいている。確かにワインとチーズは切っても切れない関係だ。ワインをグビリとやっていると、つい「チーズが欲しいなあ」と思ってしまう。ことほど左様に、食べ物には相性というものがある。

 ワインショップには、海外から輸入された高級チーズが陳列され、かなりの高価格で売られている。本物のワインを求める客は、スーパーなどの商品では物足りなく、本物のチーズを求める。

 さて、かまぼこにとって、相性の良い飲み物といえば、日本酒に止めを刺すのではないだろうか。淡白で、魚の旨みが感じられるかまぼこを口に含むと、馥郁とした透明感漂う純米酒のぬる燗が欲しくなってしまう。

 日本酒は、焼酎、ワイン、そしてビールに押されて長い低迷期を迎えていたが、地酒ブームの広がりと、業界あげての品質向上の結果、若い女性たちを中心に、静かな日本酒ブームが到来している。

 ところが、いま、日本酒に軸足を置いて商売を続けている酒屋は、本当に少ない。専売制度に支えられて、殿様商売を続けてきた酒屋は、アルコール類の自由化に伴い、次々にコンビニに衣替えしていった。それでも、コンビニが出始めの頃は、まだ良かった。ところが、コンビニ店が全国に蔓延してくると、店舗間の競合は熾烈を極めてくる。

 長い間、ぬるま湯に浸かっていた昔からの酒屋から業態変更したコンビニ店は、その対応に四苦八苦。閉店はおろか夜逃げ、さらには、もっと悲惨なケースも珍しくない。

 近所に、日本酒を中心に商売をしている酒屋があれば、店内を覗いて欲しい。店主の涙ぐましいまでの努力、工夫が、すぐに感じられるはずである。こだわりをもった日本酒の品揃え、店内の隅々にまで、繊細な神経が行き届いているはずだ。

 そうした店の店主は、少なくとも年に何回かは蔵元に足を運び、自身の舌で、その年の出来栄えや、情報交換を実践している。そんな努力が、今日の日本酒ブームを支えている。そんな1軒の酒屋の店主から「美味しいかまぼこ、どこかにない? お客さんからもよく聞かれるんだよね」。「ん? 値段? いくらでもいいけど、美味しくなくちゃ。うちに来るお客さん、とにかく美味しいものに目がないんだよね」。

 こんな質問を受けたとき、「○○のかまぼこがお勧めだよ」と即答できるかまぼこ屋であって欲しい。本物の日本酒と本物のかまぼこのマリアージュ。想像するだけで、わくわくしてくる。






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