金沢・近江町市場の「かまぼこ」

 北陸新幹線が開業してから、毎年、金沢へ旅行をするのが恒例となっている。金沢は食の宝庫である。とくに冬の金沢グルメは堪えられない。もちろん、近江町市場は外せない。ここには、かまぼこを製造している店が2軒ある。  そのひとつが、岩内蒲鉾店。以前から気になっていたが、この店のさつま揚げは、外観が懐かしい。東京の下町で、製造販売している商品に実によく似ている。とくに、目を…

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初体験! 「鯛皮ちくわ」

 近所にあるダイエーの食品売り場を歩いていたら、「愛媛フェア―」なるものをやっていた。覗いてみると、愛媛名産の数種類のねりものが特売されている。その中に、珍しい製品を見つけた。伊予蒲鉾の「鯛皮ちくわ」。エソの皮竹輪は、知っているが、鯛皮ちくわは初めてだ。値段は、1本、494円。グラム数は記載されておらず、「1本」との表示だが、30㌘あるかないかといったところなので、かなりの価格ではある。 …

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経験を積まなければ本物はわからない

先ごろ、ネットで、グルメライターたちが値段の高いかまぼこと安いかまぼこを食べ比べて正解できるかという企画記事を目にした。結果は、ほとんどのライターが正解できなかったというものだった。  当然ながら、 食べ物には、食べ込まなければわからない本物の味があるということだ。私が、よく例にあげるのが、本わさびだ。小さい時から粉わさびしか知らずに過ごしてきたが、18歳ころだったか、本わさびを口にす…

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一正「うな次郎」が、この夏を席巻?

 先日、深夜番組の「わけありレッドゾーン」に出演した。かまぼこを38年間も取材し続ける変わった人物とのキャラ付けだったが、視聴者の感想は横に置いて、本人は、割りと楽しい体験だったと振り返っている。  自分の好きなかまぼこを紹介し、かまぼこづくりを体験し、かまぼこの今後を占う新規製品の紹介と、バラエティ番組ながら、かなり、真面目な内容だったのではないかと思っている。  …

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初の板かまぼこづくり体験

 これまでに、数えきれないほど多くの板付けかまぼこの作業を見てきた。  日本一と言われる名人や、技能検定試験の受験生の庖丁さばき、親子かまぼこ教室に参加して、初めて、かまぼこづくりを体験する小学生の拙い動きなどを目の当たりにしてきた。  そして、「あの庖丁の持ち方は、なってない」、「彼の動きには、無駄がある。まだまだ…」と、厚かましく、散々、論評らしきことを述べてきたが、先ご…

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私の好きな「かまぼこ」 はま一の魚そうめん

 猛暑の影響もあって、食欲は減退。晩酌のつまみも、これは旨いという肴が見つからない。暑さのために、味覚欲求が落ちてきたのかとも思うが、先日、久方ぶりに「これは旨い」つまみに出会った。風鈴の音色を耳にしながらキリッと冷えたビールを2、3粒の枝豆で、キュッと一杯、喉をうるおした後は、日本酒だ。キンキンに冷やした純米酒なら、さらに良し。  そこで、おもむろに取り出すのが、京都・は…

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ひと手間かけたねり製品を

 先日、有楽町で映画を観た後、新橋の立飲み屋に入ったところ、つまみに「何でかうまい ちくわ素揚げ」120円というメニューを見つけた。注文してみると、煮込みちくわ(ぼたんちくわ)を1本、素揚げして、一口大にカットして、提供された。  食べてみると、これが意外とうまい。熱々で、生ビールのつまみにぴったりだった。料理は、何でもそうだが、ひと手間加えると、格段に美味しさが増す。 …

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季節感に飢える日本人

 7月9日の産経新聞(7月12日の当ブログ参照)につづいて、10日付けの毎日新聞(大阪版)でも、大寅かまぼこの「はもの皮」が取り上げられた=下の写真=。内容は、ほとんど同じで、関西の夏の味覚としての「ハモの皮」の歴史、調理法、その美味しさが紹介されていた。    7月11日放送のテレビ朝日「食彩の王国」でも、「ハモ」が夏の味覚として、取り上げられ、京料理としてのハモや、徳島の阿南…

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たまには絵画鑑賞でも…

 ゴールデンウィーク入りした4月27日の日曜日、久しぶりに、六本木にある国立新美術館を訪ねてみた。4月16日から4月29日まで第100回記念光風会展が開かれている。  元東京蒲鉾組合の組合長を務めていた藤井誠之氏が、4回目の入選を果たした作品「薪ストーブ」を観るのが目的だ。全国蒲鉾連合会の理事を務めていた頃、地方で開かれる理事会や品評会に出席すると、たまに、待ち時間などがあ…

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ベトナム航空の「かまぼこ」

 全国蒲鉾青年協議会(勘場裕司会長)では、先ごろ、ベトナム・ブンタウのすり身工場を視察して、現地のすり身生産者と情報交換を行った。今回の参加者は17人。  出発地は、成田、関空、福岡と3ヵ所が用意されたが、成田組は、わずか2人。関空が3人、残りは福岡組だった。海外旅行も、ずいぶん、多様になったものだ。  成田から、ホーチミンへ向かったのは、ベトナム航空301便。昼…

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さすが! ヤマサ竹輪の「ミニちくわ」

 職業柄、1日に1度は、ねり製品を食べているが、よくよく考えてみると、ちくわを食べた記憶は、ここ数ヶ月ない。その原因は、言うまでもなく、あまり美味しい製品が手に入らないということになってしまう。    連日、工場で、懸命に製造に携わっている関係者には、申し訳ないとは思うが、近所のスーパー売場に置いてあるちくわには、いま一つ、手が伸びない。食欲の旺盛な若者と違って、歳を重ねると、食べる量が…

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殿様商売などあるわけない

 全国のかまぼこ業界関係者の誰もが「厳しい」という一語で現状を説明する。しかし、よくよく、見ると、各地、各企業間で、大きな違いがある。苦しい、厳しいと言いながら、海外旅行を楽しんだり名門コースで、ゴルフ三昧、趣味に没頭したりと、口とは裏腹に、けっこう優雅に過ごしている関係者も多い。その陰で、倒産や静かに廃業してゆく業者も存在する。  隆盛期には、かまぼこ屋であれば、儲けの多寡はあったと…

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崎陽軒・シウマイ弁当のかまぼこ

 かまぼこにかけての造詣の深さでは、日本でも屈指の研究者から「横浜シウマイの崎陽軒の弁当。あれに1枚、入っているかまぼこが実に美味しい」との話を聞いた。シウマイ弁当に、かまぼこが一切れ入っているなんて、知らなかったが、ネットで調べてみると、なるほど、確かに、1枚、かまぼこがしっかりと写っている。  かまぼこの入っていない幕の内弁当さえ珍しくなくなった今の時代、1枚のかまぼこ…

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86年ぶりに男の子が誕生 桂馬商店

 2013年4月、広島県・尾道の名店・桂馬蒲鉾商店が創業100周年を迎えた。三代目社長の村上博志氏は「100周年を目処に頑張ってきたので、気が抜けた感じです。何とか、100周年を迎えられて、ほっとしています」と、安堵の表情を見せる。  そんな、おめでたい同社に、さらに、嬉しい出来事が。それは、実に86年ぶりに、男のお子さんの誕生だ。先代も大喜びで、ひ孫の一挙手一投足に、目尻を下げっぱな…

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連載 東蒲組合と私④ 輸送冷凍技術の発達が東京業者を窮地に

 東京のかまぼこ業者は、実に微妙な立場に置かれている。地方から見れば、1000万人を越えるマーケット人口を抱え、常に人通りが絶えない一大消費地ではある。たまに、地方から上京するかまぼこ関係者は「東京の人波を見ていると、本当に羨ましい。うちの前の通りなど、人っ子1人いない。田舎で、商売を維持してゆくのは大変だ。地方は、ますます寂れて行く。東京が羨ましい」。  なるほど一面では、正解だが、…

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思い出の寿山隆一さん

 全国蒲鉾連合会から、島根県の寿隆蒲鉾の代表者が代わったらしいと連絡を受けたのは、つい最近のことだ。理由は、代表者死亡のため。トビウオを原料に、地方色豊かな野焼きや、かまぼこを製造する山陰地方を代表する企業の代表者で同地区の組合長を長い間、務めていた寿山隆一さんの面影を、思わず思い浮かべていた。    いつも柔和で、素朴で、ニコニコと笑顔を絶やさなかった寿山さん。全蒲理事会などで…

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かまぼこ屋の現実

 東京蒲鉾組合の加入員は、3月末で71社。このうち、3社が休業中で、実質、68組合員ということになった。ずいぶん、寂しい軒数だが、この傾向は、日本全国どこも同じだ。先日、大蒲組合(大阪)で、聞いた話では、組合員は約36社ということだった。  大阪でも、最盛期には、150軒近いかまぼこ屋が存在し、組合に加入していない業者も同数くらいあったというから、東京の状況によく似ている。細工かまぼこ…

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旨すぎる日本酒は飽きられる?

 これまで、日本酒好きを自認してきたが、この1年、馴染みの酒屋への顔出しは、とんとご無沙汰だ。とくに、これといった理由はないのだが、気がつけば、店に行かなくなって1年以上の期間が過ぎた。この間、アルコールを断っていたかというと、決してそうではない。ビールにワイン、焼酎、ウィスキーと飲んでいる。  ところが、なぜか、アルコール類の中では、もっとも美味しいと思っていた日本酒に触手が伸びなか…

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女優・中田喜子さんとかまぼこ

 全国かまぼこ祭り・即売会が、ぷらっと築地で行われた初日、3月22日の朝、場外市場の一角に人だかりができていた。一体、何かと覗いてみれば、女優の中田喜子さんと原日出子さんが、天才プロデューサーのテリー伊藤さんの実家・丸武の玉子焼きを食べているところだった。   4月13日(土)午前9時55分から10時45分までフジテレビで放送予定の「おでかけ日和」のロケ取材の最中。中田さ…

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「かまぼこ新聞」と「かまぼこ通信」

 このところ、業界紙が注目されている。世の中が不景気になってきて、テレビ局の制作費が削減された影響があるのか、弊社にも、たまに問い合わせが入ってくる。  いま発売中の週刊ポストのグラビア頁でも、かまぼこ関連の業界紙が紹介されている。見出しは『「売上高ランキング」と「独自統計データ」を武器にガチンコ勝負』として、かまぼこ新聞とかまぼこ通信が比較紹介されている。  どちらの媒体に…

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「蒲鉾板で消費者から作品」 日曜大工

 大蒲青年会の創立50周年記念誌を執筆するため、いろいろな文献を読み漁っているが、昭和52年4月24日付けの交流紙に、興味深い記事が出ているのを見つけた。  「蒲鉾板で消費者から作品」との見出しで、大阪の大寅かまぼこがPR事業の一環で、消費者に、かまぼこ板を利用した日曜大工の作品を募集したという記事である。  かまぼこ板といえば、小田原の鈴廣かまぼこが昭和57年に始めた「小さ…

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律儀なかまぼこ企業・ヤマサ蒲鉾㈱

 第65回全国蒲鉾品評会の受賞結果が、このほど発表されたが、姫路のヤマサ蒲鉾㈱の健闘振りが、際立っている。「鱧皮かまぼこ」が農林水産大臣賞に輝いたほか、ことしから設けられた東京海洋大学長賞も獲得。ダブルでの上位賞を獲得した。  かまぼこ業者が選ぶ特別賞の第1回目の受賞製品にも輝いており、テープカットに訪れた林芳正農林水産大臣も、自ら手に取りながら、興味深そうにながめていた。 …

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年末に食べたかまぼこ

 この年末、ある知人から、当社のかまぼこを食べてみて欲しいと、「かのこ」と「伊達巻」、おでん種が数種類、届いた。生の原料から作り上げたその製品は、冷凍すり身だけから仕上げたものとは、味の深み、手付けの繊細な旨みが加わって、実に良質の製品に仕上がっていた。生の魚を自身の工場で処理できる業者の商品が不味いわけはない。有名どころのものと比較しても遜色ないほど美味しかった。  これ以外にも、数…

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あれこれ思い浮かぶ年の瀬

 ある地方の重鎮から、10数年前に新聞に掲載した写真のネガが残っていないかという問合わせの電話が入った。随分、久しぶりに聞く声で、すぐに判断できなかったが、名前を聞いてすぐに思い出した。かつては、いろいろとお世話になった方だったが、最近では、一線を退き、拝顔する機会もなくなった。  「俺もあと何年生きられるか、わからないから、葬儀用の写真を用意しておきたいと思って…」と、冗談なのか本気…

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わくわくするねり売場「味匠庵」

 最近のねり売場には魅力がないと何度、嘆いたことだろう。つい、食べてみたいと手が伸びるようなかまぼこ製品が揃った店が少ないと文句ばかりいっているような気がする。    ところが、先日、築地からの帰り道、三越銀座店の食品売場に顔を出すと、ねり製品を初めとする全国からの逸品、名産品が売られている「味匠庵」という一角がある。    全国の隠れた名店・老舗の商品が販売されており、ここに陳…

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お恥ずかしいかぎり

 昨夜のTBSテレビ・特大「がっちりマンデー」、お恥ずかしい限りです。  根っからの物書きで、しゃべりは得意じゃないので「どうせ、没になるだろう」と高をくくっていたのですが、まさかトップバッターとは驚きました。何も知らせていなかった田舎の義母からも「どうなってるんだ」と、放送中に、とまどいの電話が入ってきたり、懐かしい友人からの電話もありました。    愚妻は、「掃除もしていな…

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桂馬の柿天に思うこと

 尾道の桂馬商店が「わたしと桂馬」のエピソードを募集しているというのを知って、昨年11月号の水産煉製品新聞に掲載した「桂馬商店の“柿天”に思うこと」という記事を思い出した。以下に紹介する。  生まれ故郷の広島の実家は、東洋工業本社のあるJR向洋(むかいなだ)駅近くにあった。この駅は、普段は、人影も疎らな小さな駅だが、午前8時の出勤時間と夕方5時過ぎの退社時間ともなると、東京のターミ…

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連載③東蒲組合と私 未だ解消できない夏場対策の命題

 年々、日本の夏は暑くなる。もはや、日本列島は亜熱帯圏になってしまったのではないかと思うほどだ。先日、北海道の小樽に出かけたが、何と33℃。爽やかな北海道で滞在をとの目論見は淡くも消え去り、汗が吹き出す厳しい灼熱の3日間を過ごした。  昔から東京のかまぼこ業者は、夏場は開店休業で、諦めムードが漂っていた。夏場の1、2ヵ月は商売を休み、のんびりとバカンスを楽しむ業者も少なくなかった。小田原の…

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連載 東蒲組合と私② 東京業界の趨勢を映す総会会場

 通常総会直前に開かれた役員会の席上、話題になったのが、これまで、どんな会場で、総会を開いていたかという思い出話だった。組合財政が逼迫している今日、東蒲の総会は、築地厚生会館で開くのが、通例となっているが、私が東蒲組合に出入りし始めた昭和55年頃といえば、それは大層、派手なものだった。役員会や打合せはホテルや料亭で行われることも珍しくなかった。  新年会、総会ともなると当然のように箱根か熱…

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連載 東蒲組合と私①

 築地市場をはじめ全国の中央市場で購読されている日刊食料新聞の元社長・山初省吾氏が、先ごろ、67歳の若さで死去した。つい最近まで、いろいろな取材先で、お会いしていただけに、突然の訃報に驚くとともに、寂しさを感じたが、同時に、気がつけば、いつの間にか、自分も人生の終焉に迫りつつあることを自覚させられる。  自分の知っていること、体験したことを交えながら、東京のかまぼこ業界の歴史を一記者として…

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