ひと口知識 白焼きかまぼこ

 今回は、東の小田原かまぼことともに、西の萩・仙崎かまぼこと並び称される、山口県名産の白焼きかまぼこについて紹介することとします。また、萩といえば、日本の歴史を変えた地域としても有名です。


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 白焼きかまぼこ(焼抜かまぼこ):

 大阪の焼抜かまぼこは「焼通し」といわれ、かまぼこの表面に亀甲模様をつけたり、全面に焼き色が付いたりしています。山口の白焼きかまぼこは、表面に焼き色を付けずに細かい皺を寄せた焼抜かまぼこで、そこが白焼きかまぼこといわれている所以でもあります。


 仙崎・萩かまぼこの歴史は、一説によると貞亮年間(1684~1688年:江戸時代中期)に、萩の魚店町の九郎兵衛なる人物が魚肉を擂り潰して蒲の穂状にして焼き、藩主毛利元吉に献上したのが始まりといわれている。その後、明治期には萩市から長門市(仙崎)に移った大井又蔵が萩からかまぼこ造の技術を導入し、製造を始めたとも、また、仙崎在住の海鮮問屋「藤田」が、神戸や明石方面から製造技術を習得したとも伝えられ、明治期以前にかまぼこの製造がすでに行われていたようである。



 原料魚としては、明治期は近海の吾智(ごち)網に入る、小ダイ、キス、エソ、カレイやニベなどを使用していたが、現在では高級品にはエソが主体に使用され、通常品は冷凍すり身により製造されている。エソは粘りの強い弾力が特徴で、味も良いが硬い小骨が多いために塩干品等に使うことができず加工品の原料としては、下魚といわれていた。



 しかし、肉だけを分離して使用するかまぼこの原料魚として珍重され、かまぼこのために生まれてきた魚といわれる。エソには、マエソ、ワニエソ、トカゲエソがあるが、マエソが最も良い原料、次いでワニエソの順である。トカゲエソは両者に比べ味、弾力ともに劣る。また、スケトウダラと同様にエソは、肉の中に存在するトリメチルアミンが、死後に分解されてタンパク質の変性剤であるホルマリン変化するため鮮度落ちが非常に速い。



 表面に焼き色を付けずに白く仕上げる製法は、焼き色を付ける糖類を使わずに、板面から加熱し、最後に表面を加熱して仕上げる。通常、加熱の配分は板面7割、すり身面3割の割合で加熱といわれている。



 食べ方としては、わさび醤油でそのまま食べるのがポピュラーである。地元飲み屋などでは、注文するとかまぼこの真中に切れ目を入れ、そこにわさびを挟んで出されることが多い。



 仙崎かまぼこが、日本全国に知られるようになったのには、こんな一説がある。戦後、満州からの引き上げ者や、シベリアに抑留されていた日本兵たちが、命からがら乗り込んだ故国への引き揚げ船。望郷の思いで、涙する彼らに1番最初に提供された食事が、白米と味噌汁。そして仙崎かまぼこだったという。日本への郷愁、国で待つ肉親、父や母、嫁や子供たちとの再会を夢見る彼らにとって、その美味しさは、さぞや、身に沁みるものだったろう。引き揚げ船の寄港地・仙崎から日本全国に帰っていった彼らが、船上で食べたかまぼこの美味しさを感動とともに周囲に伝えたことが、仙崎かまぼこの美味しさが伝説として各地に広まったものと伝えられている。




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