かまぼこは郷土の誇り

 先日、銀座の居酒屋で1人酒を煽っていたら、隣に座っていたご夫婦の奥さんから「このお店には、よくこられるんですか」と声を掛けられた。


 「う~ん。たまにですかね」と答えて、会話を打ち切ろうとしたが、「かなり、お飲みになるんですか」と続けられて、酔いも手伝い、団塊の世代だというこのご夫婦と会話が始まった。


 ご主人は、昭和22年生まれで、吉田類の「酒場放浪記」のファン。パソコンを駆使して、この店を見つけて初めて訪れたとのこと。一方の奥さんは23年生まれ。かなり外交的な性格らしく、次々に話題を投げかけてくる。お二人とも、その風貌に人柄が表れているようで、物腰が柔らかく、穏やかで、余裕ある老後を過ごされていることがうかがえた。


 ご主人が、四国宇和島の出身と知って「じゃこ天の名産地ですね」というと、表情を崩しながら「そうなんですよ。美味しいんですよ。必ず里帰りの時、お土産に買ってくるんですよ…」と話が止まらない。


 横から奥さんが「私は、黒いのは駄目。白いのが好き」と口を挟む。「ご出身は」と水を向けると「私は、豊橋。何と言っても、ヤマサ竹輪よ」と胸を張る。小さいときから、ヤマサの竹輪を食べて育ったという。


 「ああ、佐藤さんのところですね」と口を滑らすと「あら、佐藤さん知っているの。何で何で?」と問われ、適当にお茶を濁したが、「四国のねり物なら、魚の皮を巻いた、あのなんていうのかしら、おいしい竹輪があるんですよ」との奥さんの言葉に、つい「それは、エソの皮竹輪ですよ」と答えると、すかさず、ご主人が「そちらの関係者でしょう。そうじゃなきゃ、魚の名前まで知ってるわけがない」と、奥さんに語りかけていた。


 出身地の話が出るとき、かまぼこの話が飛び出した経験は、これまでにも幾度となくあった。地方地方で、その土地特有の昔ながらのねり製品が存在しており、懐かしさとともに、郷土の自慢にもなっている。たまたま知り合ったご夫婦との会話を通じて、改めて、かまぼこは郷土の味の代表なのだということを実感した。

 東蒲新聞9月30日号から










ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント


この記事へのトラックバック