昭和を伝える「坂下マーケット」

 東京都板橋区の片隅に「坂下マーケット」という朽ちた建物の群落があり、写真のような看板が残っている。そこには「菓子類」「蒲鉾」「酒類」「食料品」「青果」「鮮魚」「精肉」の7業種が書き込まれている。買い物客で賑わったかつての夕暮れの風景が何となく想像できる。

 我が家が、この場所に引越してきたのは、ちょうど30年前のことだ。その頃は、まだ、買い物籠を手にした主婦たちの姿がちらりほらりと見かけられた。妻も、遠く離れたスーパーで、うっかり買い忘れた野菜などを「ちょっと買ってくる」と、サンダルを引っ掛けて、このマーケットに向かったことも思い出す。その八百屋も今では、リサイクル店に業種変えして、ひっそりと商売をしている。

 菓子屋、鮮魚、食料品は、30年前に、すでに廃業していたように記憶する。いまでも、残っているのは、酒屋と肉屋の2軒だけ。それも、開店休業のような状態で、かつての賑わいはない。

 この30年の間に、我が家の近くには、4軒の大型スーパーができて、量販店同士が客の奪い合いを繰り広げている。その間隙に、4、5軒のコンビニ店が24時間営業している。

 坂下マーケットは、ますます朽ちてゆく。風雨で文字が消えかけた看板だけが、昭和を伝えているようだ。

 そして、かまぼこ屋。私は、この店が何と言う店名で、どんな商品をつくっていたか、見たこともない。ぜひ、1度、食べてみたかったといつも思う。昨今の商店街の現状を見ていると、かまぼこという単品商売が、何とか生き残っているというのは、ある意味、奇跡に近いのかもしれない。

 つい、先日、開かれた東京蒲鉾組合の役員会の席上、今年度の組合員は74軒。このうち4軒が休業中ということが明らかにされた。東蒲組合の組合員がもっとも多かったのは、昭和54年の272軒。未加入の業者まで含めると350軒以上のかまぼこ店が営業していたといわれる。


画像
          文字が消えかけた坂下マーケットの看板


画像
          かつての賑わいもなく人影の見えない商店





ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント


この記事へのトラックバック