媚びない美味しさ

 先日、ある人から板かまぼこを頂いた。久々に魚の匂いがする香ばしい香りを嗅いだ。魚本来の味のするかまぼこに新鮮なショックを受けた。

 手で板から引きちぎりながら、口に放り込む。上品に、庖丁で綺麗に切り分けるより、板にこびり付いた身を引き剥がし、ムシャムシャ、咀嚼する。手に魚の匂いが染みつく。頑固なまでに変わらない、主張するかまぼこを堪能した。

 食べ終わっても手に染みついた魚の匂いはいつまでも消えなかった。粗野で、荒々しささえ感じられる板かまぼこだったが、大衆に媚びない毅然とした風格さえ感じた。

 最近、工場見学にくる小学生の中には、かまぼこが魚からできていることを知らない子がいると嘆く関係者が多い。だから、魚からできていることをPRしなければならないという議論もわからないではない。しかし、その一方で、そんな分かりきったことが食べてもわからないという事実は、どうなるのだろう。

 いまのかまぼこは、晒しすぎて、魚本来の味がしないということを、よく耳にする。魚の匂いがしない、海の香りがしない、まったく匂いのしない味も素っ気もない製品が主流を占めているという事実をかまぼこ業者は、どう受け止めているのだろうか。




 この文章は、かつて、水産煉製品新聞の「編集後記」の中で書いた一文である。その後、魚本来の味がするかまぼこは、どこのかまぼこなのかといった問合わせが相次いだが、回答は控えた。
 あえてヒントを出せば、山口県の日本海側に存在する某かまぼこ店の商品であるとしておこう。











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