手付けと機械づくりのかまぼこ

 手付けの板かまぼこと、大量生産の板かまぼこと、どちらが本当に美味しいのか。違いがないのなら、機械でできるものをわざわざ手間隙かけて手作業でつくることはない。販売価格だって格段に違う。これまで、明確な理由を聞いたことがないが、業界内では、あたかも手作りが上等で機械によるものは下等というような風潮がある。
 生さかなを手作りでつくる技術こそ、職人技の極致であり、究極の美味しいかまぼこが生み出されるという一方で、機械でつくったほうが、衛生的で、コストダウンの面からも効率的。昔は機械がなかったから手でつくっていたに過ぎない。機械技術の進歩に目を覚ませというのが言い分で、どちにも一理はある。若い経営者の多くは、どちらかと言うと、後者の考えを支持しているようだ。

 さて、個人的な意見だが、機械づくりと手付けでは、明らかに違いがある。それは、板付け作業を見ていればわかる。名人クラスの作業を見ていれば、さらに明らかだ。板付け技術の原点は、すり身をイカ刺しのように薄く延ばす庖丁捌きができるかどうかにかかっている。薄く延ばしたすり身を板の上に何度も何度も重ねてゆく。その作業から生まれる幾層ものすり身の断面が生み出す層の積み重ねが独特の食感を生み出すという事実である。機械作りでは、この層ができない。いっきにすり身を詰め込むため魚肉に断層がない。断層がない分、食感として単一的なものにならざるを得ない。このあたりに、手作りの板かまぼこの美味しさの秘密が隠れているように思う。

 さらに言うならば、美味しい食べ物には、必ず、調理人の技と手間隙がかかっているということだ。鮮度の良い材料であれば、誰がつくっても味に違いはないかと言うと、決してそんなことはない。白身やマグロの刺身を食してみればわかる。職人が柵から刺身に切り分けたものと主婦が捌いたものとでは、食感、味ともに、大きな違いがある。さらにいえば、イカやアワビなど、単に切り揃えただけの切り身と、丁寧に隠し庖丁を入れた刺身とを食べ比べれば理解できる。技術と心配りによって食品の味は大きく変わる。



ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント


この記事へのトラックバック